奈良で正倉院展が開催中で、
テレビでも正倉院展についての番組があり、
宝物を観る上で参考になりました。
奈良時代に聖武天皇の崩御の際、
光明皇后が夫である聖武天皇の愛用品などを
正倉院正倉に奉納しました。
宝物はどの分野もとても高い技術で作られていて、染織の面においても驚くばかりです。
まず織物や染め物を見ていていつも感動するのは、1300年以上を経ても色が鮮やかに残っているものがある事です。
当時はもちろん植物で染めているので、
色が褪色せず残っている物がある事がとても不思議です。
そして今回印象的だったのは、多彩な麻の使い方です。
一口に麻と言っても苧麻(ちょま)、大麻、黄麻など様々な種類があります。
あるときは靴や被り物などをしっかりさせたい時の芯地として、
またあるときは織った布自体が税として納められたりと、種類の特徴に合わせた使い方がされていたことも分かってきたそうです。
当時はまだ木綿が伝わっていないので、
現代よりもより身近な素材だったんだと感じました。
また、宝物の中には長い年月の間で傷んでしまった衣裳もありますが、
端切れやほつれた繊維も大切に残して保管されて来たことに「染織品も大切な宝物」
という先人達の強い想いを感じます。