oribiyoriのブログ

草木染め、手織りした作品、また綿栽培や染め織りに関することを書いています。

小説の中の機織りと染め

 
 今回は昔話以外の織りや染めが
話の中心になっている小説をご紹介します。
また新たに小説が見つかったら随時お知らせしたいと思います。
 
●『からくりからくさ』
梨木香歩 作 
 作者の梨木さんは新潮文庫夏の100冊などで
いつも紹介されている『西の魔女が死んだ』が
有名なので、ご存知の方が多いかも知れません。
 主人公の蓉子が亡くなった祖母の家を
女子学生の下宿人に貸し出し、管理人として
自分も住むことになります。
 蓉子は昔から染めをしているようで、
通っている染織工房や植物染料をとして関わった女性達が集まります。
 その下宿の家での学生たちとの交流と、
祖母の家に残されていた日本人形の「りかさん」を巡る
不思議な話が重なって話に引き込まれていきました。  
 
 染めや織りの場面が随所に描かれていて、
この話をきっかけに染織に興味を持った人は多いようです。
 
●『絹扇』
 津村節子自選作品集3に収録  
 主人公のちよは両親の稼業である織りを
幼い頃から手伝い、大きくなってからは
機織りの腕を磨き、 家計を担っていきます。
 明治期に産業がどんどん工業化されていくなかで、
家業を守るために苦労する家族の姿や
当時の農村の女性が置かれていた厳しい立場などが
シビアに描かれてもいて、考えさせられる場面も
ありました。
 それでも、ちよには機織りの腕があり、
どんな苦境になっても自分の腕で立ち上がろうとする姿に清々しさを感じました。