他の用事もあって織りの作業はここ数日ペースがゆっくりで変化が少ないので、
今回は織りにまつわる民話や伝説についてご紹介したいと思います。
~はた織りが出てくるお話といえば。~
はた織りのお話というと、皆さんはどういった昔話が思い浮かぶでしょうか。
やはり日本でいうと「鶴の恩返し」が有名かと思います。
(地域によって鶴を助ける人物がおじいさんとおばあさん夫婦だったり、
若い男性(鶴が人間に変身して奥さんになる)だったりしますが、
どちらの場合も機織りしているところを見られて去って行ってしまいます。)
ただ、このお話以外では有名な民話として他にあまり思い浮かばない事が
不思議になりました。
というのは、はた織りは太古の昔から人間が身に着けてきて身近なはずの技術です。
それなのに昔話として有名なお話が少ないのは何か理由があるのか、
と思い染めや織りの民話について書かれた本や、各地の民話について検索してみました。
~外国のお話と日本の民話との共通点~
外国にはギリシャ神話の様にはた織りを司る神様(アテナ)と
人間との関わりを描いたお話や、
はたを織る女性が蛇や、人魚といった水に関係する動物に変身したりするお話等
がありました。
その中でもどちらかというと人間が織っているところを見ないように言っても
相手に見られて蛇や動物になったり、
はた織りをする妖精が出てきたりする展開が多いようです。
そして、日本の他の民話でもはた織りをする女性が蛇や竜などの動物に
変身したりする展開の話もあり、
その話の舞台も池などで機織りをしていたりと、不思議な共通点がありました。
日本では特に蛇や龍は水を司る神様として古くから知られています。
蛇と女性との関りなどについての詳細は機織りとはまた違った話になるので
詳しくは触れませんが、染織、特に染めは水と深い関りがあるので
様々な想像が膨らみました。
また、ハッピーエンドの話が多いかどうかというと、
各地の民話を見てみると、はた織りをする娘や旅人が池に住む水神の生贄にされたり、
部屋に閉じ込められたりと大変な目に遭ったり、悲恋の話や怖い話?と
思わせる物悲しい話が多めなのと、
はた織りをする女性の当時の社会的な立場の弱さも感じられて
子供たちに読み聞かせたりする童話にするにはちょっと表現が難しそうだと
感じました。
~新しい表現でポジティブなイメージを~
これまで見て来て理由が分かったものの何となく気分が少し落ち込みましたが、
アニメに出てくる機織りの場面では良い印象を受けた場面がいくつかありました。
まずはスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』の銭婆の家での場面です。
千がハクを助けるために訪れた銭婆の家には織り機や糸車があり、
銭婆が魔法だけでなく手でものを生み出すことを大事にして穏やかな暮らしを
している様子が感じられます。
田舎での暮らしを懐かしみ都の屋敷ではた織りをしている場面です。
平安時代は貴族の生活を描いた場面が多いので、
はた織りの様な、市民の暮らしが分かる描写はとても新鮮でした。
これからは物語でもこういった、手仕事をしている場面を丁寧に描くお話や、
染め織りを楽しんでいる(←ここ大事です!)人が主人公のお話が生まれたら
良いな、と感じました。
参考文献:『竜蛇神と機織姫』篠田知和基 著 人文書院
『鶴の恩返し』昔話
各都道府県の観光サイトの民話を紹介するページ
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