~江戸時代の色彩について~
「四十八茶百鼠」はその通りの色数では無く、
茶色系統ややグレー系統などの色合いの種類が
それだけ沢山あるという意味合いで言われた、
当時の着物の色彩を表した言葉だといいます。
町人が裕福になり華やかな着物が流行っては
幕府が取り締まるという時代を繰り返すうち、
グレーや茶色系統のバリエーションを増やして
他人との違いを演出したり、
「裏勝り(うらまさり」といって
裏地に凝って華やかにしたりという工夫をしていました。
どんな苦境に陥っても工夫して服装で自己表現をする、
人々の逞しさを感じます。
~色名の名づけ方も変化~
当時の色の名前で特徴的なのは、
当時人気だった歌舞伎俳優や
有名な人がよく着ていた衣装の色合いや柄が、
~グレー系、茶色系等を染める~
こういった色を染める時の染料としては、
私は主には五倍子(ごばいし)、びんろうじという
木の実や樹皮などを細かくしたものを使っています。
そして媒染(ばいせん)という、
色を糸に定着させるための段階で
鉄分を含んだお湯などに浸して置いて、
黒っぽい落ち着いた色合いに変化させます。
普段は明るい色を染める染料でも、
鉄分を含んだ液体にふれると一気に落ち着いた色合いに
変わるので、 染めは化学の世界だなと実感する瞬間です。
普段明るい色を染めたり使う事が多いので、
こういった色合いとの組み合わせ方を模索しています。